もみ返しについて
運動をした後に出る『筋肉痛』と(指圧やマッサージ後に起ことがある)『もみ返し』について。
もみ返しは悪者扱いされることが非常に多いのですが、当院では、もみ返しは良い反応だと考えています。
それは、スポーツ選手が運動の後に筋肉痛が出たからといって、指導者が運動を止めさせることが無いことと同じ考え方です。
筋肉痛やもみ返しも筋肉や筋膜と関連しています。
筋肉痛ともみ返し、その発生原因は異なりますが、症状はそっくりというか同じと考えられます。
体質による個人差はあるのですが、どちらも出にくい人と出やすい人がいます。
また、どちらも症状が出たとしても通常2~3日くらいで解消されます。
過去の実体験より、かなり激しいトレーニングをしたとしても、筋肉痛にしてももみ返しにしても酷い人でも1週間が限度だと感じています。
筋肉痛やもみ返しというのは、筋肉や筋膜に起こる「微細損傷」と言われています。
その時、その微細損傷を治そうとして「微弱炎症」も起きます。
一方、運動中にプツッという音と共に筋肉が切れることがあります。
一般的に肉離れと呼ばれています。
この肉離れは「損傷」です。
その後、肉離れを治そうとして「炎症」が起こります。
この損傷の場合、痛みは2週間~1ヶ月ほど続きます。
「微細損傷」と「損傷」、「微弱炎症」と「炎症」を一緒と考えている方が多いと思います。
当院では、「微細損傷」と「微弱炎症」は正常範囲内と考えており、「損傷」と「炎症」は異常(怪我)と考えています。
端的に言うと、
筋肉痛やもみ返し時に起こる「微細損傷」や「微弱炎症」は正常であり、一方肉離れなどで起こる「損傷」や「炎症」は異常である。
実際、筋力をつけるためには「微細損傷」は必要なもので、微細損傷が治る過程で超回復(24時間~48時間後)が起こり、筋肉は大きくなるのです。
また、指圧やマッサージ後のもみ返しの後も筋肉が強くなります。
この“強くなる”とは、筋肉が大きくなるのではなく、もみ返しが出ない筋肉になるという意味です。
つまり、微細損傷が起きにくい筋肉になるのです。
これが皆さんの身体に備わった自然治癒力なのです。
筋肉痛がトレーニングに必要なように、治療の為にはもみ返しは必要なのです。
指圧やマッサージが国家資格として認められていることも、もみ返しが悪いものではないことが理解できると思います。
深圧では、筋膜と筋膜のくっつきという病状と、筋肉の中にできた“こり”(筋硬結)を取り除いて痛みを除去しようとします。
最近は筋膜が注目を集めていますが、筋硬結については献体の解剖で明確になっていますし、当院での触診でも玉状で大小の筋肉の塊を確認できます。
筋肉は皮膚の奥にあり、筋膜の奥にあります。
身体の奥深くにある筋肉も多く存在しますし、深くにある筋肉も筋膜に包まれています。
したがって、奥深くにある筋肉中の筋硬結をほぐすには、深く圧をかける必要性があります。
結果的には強く押していることになり、筋膜や筋肉に「微細損傷」と「微弱炎症」を起こすことがあります。
これをもみ返しと呼んでいるわけですが、深圧はかなり奥にある筋肉の痛みの原因を取り去ろうとしているので、治療にはどうしてももみ返しが伴うのです。
しかし、もみ返しは通常最初の方だけで、徐々に出なくなります。
また、もみ返しが出た場合、その痛みが取れた3~4日後に足が軽くなっていることに気づく方が多いものです。
筋膜と筋膜のくっつきや、筋硬結の原因は突き詰めると血流の悪化です。
筋肉が押されると、筋肉内の神経からカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)という物質が出て筋肉内の血管を広めます。
その結果、筋肉内の循環が改善して“こり”(筋硬結)の中にたまっている疲労物質や発痛物質が流されるので、痛みが改善して足が軽くなりやすいのです。
深圧の受け初めの方では、もみ返しが出やすく、筋肉内にたまっている発痛物質の影響で押されると痛みを感じやすいです。
しかし、深圧を繰り返しているうちにもみ返しは無くなり、押されたときの痛みも無くなっていきますので安心してください。
「もみ返しは良くない」と考えている人は、「微細損傷」と「損傷」、「微弱炎症」と「炎症」を一緒の現象だと考えているように思われます。
また、前述のカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)が筋肉内の血管を広めることについて言及していないように感じます。
もちろん、もみ返しの出やすい方はいますので、その時は直圧法を控えフリクション法を多く用いたり、全体的に軽めに深圧したり、出来る限り広い面積(指より肘下の広い面で押す)での深圧に心がけたり、強さよりも回数で筋肉をほぐすようにしています。
限界はあるかもしれませんが、松本深圧院スタッフ全員で徹底しています。