深圧により股関節の治癒力を高める
年をとると誰しも身体の衰えが気になり始めます。
わたしも、最近は同年代の友人・知人と話をすると、いつの間にか病気や健康に関する話題で盛り上がる?ことが増えてきました。
健康で生きていることのありがたみを感じられる年頃になったということでしょうか。
それにしても、世の中を見渡すと、まあ「健康」に関する情報、商品やサービスの溢れていること。
人々が一番食いつきやすいテーマだからでしょうか、健康ビジネスも百花繚乱の様相が続いています。
とくに最近では、新型コロナウィルス感染症の蔓延が続いているせいか、栄養療法など免疫力を高めるための様々な栄養療法(食品、サプリメント)、健康療法に関する情報については枚挙にいとまがありません。
人は病気をしたり、不健康な状態になることによって、日々健康で在ることの素晴らしさを実感するものですが、逆に病気や健康不安を煽ることで隆盛してきたのが健康ビジネスであり、保険ビジネスでもあります。
汚染、環境不全、ストレス過多社会、乱れた生活・食生活。
そんな不健康な社会を健康的に生きるには?
不安を煽ることはマーケティング手法の一つとはいえ、ちょっと行き過ぎだと感じるのはわたしだけでしょうか。
余談ですが、不安を煽るようなマーケティング手法のことをFUDといいます。
FUDとは、不安(Fear)、不確かさ(Uncertainty)、疑念(Doubt)の頭文字をとった言葉。
消費者や大衆の「不安、不確かさ、疑念」を煽ることで目的を達成するというマーケティング手法のこと。
ネットをのぞいてみると、多くの日本人が毎年受ける定期健康診断によって、本当は気にするほどの異変・病気でもないのに病人扱いとして診断され、治療を勧められて病院や薬の餌食になる、なんて記事をみかることも少なくありません。
FUDマーケティングや医療サイドからの警告に煽られ、惑わされ、心配になり、健康に対して少々神経質になり過ぎているような気もします。
もちろん、健康体になりたい、また、いま健康であるこの身体を維持したいと思うのは自然なことですし、そのために身体にいいことをしようとするのは健全な発想です。
健康を維持する考え方や方法は様々ですが、ベースになるのは「治癒」であると思います。
「医師が病を治すのではなく、身体が病を治す。」
(古代ギリシャの医者・ヒポクラテス)
これは、人の身体にはもとより「治ろうとする機能」があり、医師の役割はその機能を“補助”することにすぎない。
治療や医療行為というのは治る機能を“補助”するものであるべき、ということを言わんとしています。
治療と治癒は似て非なるもの。
「治療とは外からほどこすもの」
「治癒とは内から生じるもの」
(アンドルー・ワイル、アメリカの健康医学研究者・医学博士)
アンドルー・ワイルさんは、いま健康に生きていることが、「治癒系」が機能している証拠だといいます。
「われわれは人体に備わった治癒系の不断の活動について、それに感謝するどころか、ほとんど気がついてさえもいない。潜在的にわれわれに病気やけがをもたらしうる外的因子のすべて、内外の環境のたえざる変化のすべてを考えるとき、われわれがこうして生きていること自体が驚異なのだ。」
「われわれがほぼ通常の健康を享受している日々そのものが、治癒系の活動を立証しているのだ。そのはかり知れない価値は、病気を軽減させる能力にではなく、むしろ、日常生活の変転をかいくぐって健康を維持する能力のほうにある。凡に非凡を認める、真の機会がそこにある。」
(『癒す心、治る力』アンドルー・ワイル 角川文庫)
この世界で病気なく生きていられること自体が不思議であり、それは治癒系がしっかり機能してくれているおかげであるとのこと。
ただし、現在、食生活など身体によくない生活習慣をしているけれど特に問題ないからといって「健康」であると信じるのは危険だといえます。
単に毒素がたまっているだけで、それがいつ表面化するかは体質などによっても異なるからです。
自分は「身体が丈夫だ」と思って安心するなかれ。
人間には自然治癒力が備わっていますが、そこに働きかけるのが「治癒系」。
食事にしても、何にしても、自然治癒力を高めるために、または衰えないように働きかけていく。
「治癒系の効率を高めるための行動計画を実行したからといって、必ずしもすぐに顕著な変化があらわれるわけではない。それは、からだの将来にたいする、長期にわたる投資なのだ。」(同上)
深圧療法の考え方も、根底ではこの自然治癒力に大いに依存しています。
深圧は、最終的には、治癒を導き出すもの、起こりやすくするもの、機能を助けるもの。
病気となった筋肉・しこりをほぐすという施術の側面だけをみると治療的ですが、目的は筋肉を正常な状態にすることによって、本来の機能を発揮できるようにすること。
身体本来の機能に逆らうことなく、それが自然な形で機能することを促しているのです。
「変形性股関節症」でいうと、自然治癒力にもとづいた骨の“修復”を身体にとって望ましい「変化」としてとらえ、それを適切にサポートしていく。
そして、何よりも大きいことは、痛みが軽減してくるにつれて将来への不安、絶望感から解放されることです。
人間の心と身体は切り離せないものですから、将来への不安、いわばストレスが軽減されていくことにより改善のスピードも増し、精神的な治癒につながります。
「進行性」「不治の病」という呪縛から解かれることで、自然治癒力が活性化される。
「自発的治癒を作動させる鍵はこころが握っていることが多い」
(アンドルー・ワイル)
深圧の根底には、自然治癒力に対する理解、治癒系への働きかけがベースにあるのです。
2022年2月4日
接阻峡(静岡県川根本町)の吊り橋
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