変形性股関節症患者とQOL(生活の質)
前回のブログ記事で、QOL=Quality of Life(生活の質)について少し触れました。
そこで、今回はもう少しQOLについて書いてみたいと思います。
自分が変形性股関節症患者となり、それまでとは「質」の異なる生活をするようになりました。
そして、以前の生活状態に戻ることを目指すのではなく、あらたに成長しながら自分に合った生活スタイル、生活の質を追い求めるようになって、QOLという言葉を意識するようになりました。
自らが望むQOL(生活の質)を目指す
変股症は原因も含めて少々わかりにくい病気であり、症状も様々ですので、医師や専門家の判断・指示に頼らざるをえない点は決して少なくありません。
それでも、まずは自分の求めるQOL、自分が受け入れられるQOLをしっかりと思い描き、認識しておくことが大切だと思います。
今は痛みがあってあまり動けないけれど、自分はどういう生活をしたいのか?
それによって、取り組む治療法であったり、リハビリの質と量も変わってくると思います。
わたしの昔の職場の上司で、自転車(サイクリング)を趣味にしている男性がいたのですが、股関節に痛みが発症して変形性股関節症と診断された後、何としても自転車を乗り続けたいとの思いで人工股関節への置換手術を決意。
術後、懸命なリハビリによって股関節は良好な状態が続き、サイクリングを再開して楽しい日々を過ごされていました。
また、大のゴルフ好きの親戚(女性)は数年前に股関節痛が発症し、病院で手術をすすめられましたが、わたしからのススメもあって深圧を受けることに。
比較的短期間で痛みもほぼなくなり、70代半ばの今でも大好きなゴルフを楽しんでいます。
この方たちは趣味としてのスポーツをする(できる)ことがQOLであり、そこに再び戻ることを目的として治療とケアを続けていました。
もちろん、その目標は人によって様々です。
とにかく、痛みなく歩けるようになることが自分のQOLを高めるという方も少なくないでしょう。
みなそれぞれの生活があり、現実の状態を踏まえた上で(多少無理をしても)維持しなければいけない生活もあるわけですし、仕事などを通じた人生の目標もあると思います。
現状の症状を客観的に視つつ、自分が求める(又は維持したい)生活レベルや質との最適なバランスを見つけたいものです。
「専門家」はあくまで「専門家」の立場でしかアドバイスできないし、繰り返しになりますが、最終的にどういう生活を送るかは自分次第です。
それは、股関節専門をうたっているわたしたちこそ、強く肝に銘じなければなりません。
患者さんがのぞむQOLの実現にどうやって貢献できるか?
どこを目指すのかによって、ケア方法・リハビリ方法、そして日々の生活において気をつけることも変わってきます。
もし当院に来院された際には、ご自身がどういう生活を送りたいのか、目標とするQOLをお伝えください。
わたしたちは、それを実現させるためにまずは「痛み」の除去に尽力し、そして、患者さんが主体的に判断・行動していくためのアドバイスやサポートをしていきます。
年齢や経験によって、また自分を取り巻く環境によってもQOLは変わりうることを前提に、柔軟な思考をもちながら、自分の身体・健康状態とうまく付き合っていきましょう。
2022年10月23日
横須賀港にて「YOKOSUKA軍港めぐり」クルーズ船を眺めながら
コメントを投稿