私たちは深圧という特殊技術で股関節を専門に施術しています

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自身の股関節の歴史を知る

 

関東地方もようやく梅雨が明けました。

 

猛暑も嫌ですが、梅雨のジメジメ気候はもっと嫌。。。

 

今年は新型コロナウィルスのこともあるので思いっきり外で夏を満喫!というわけにはいきませんが、これまでとは違ったスタイルで夏を楽しみたいと思います。

 

さて、先週のブログでも少々触れましたが、

 

変形性股関節症は、その症状・経過や痛みの程度において個人差がとても大きいことが特徴です。

 

したがって、当院では、患者さんを十把一絡げに扱うような医療現場でなされる診断やアドバイスには注意が必要であることを常々うったえています。

 

ポイントは、

 

自分の股関節の“歴史”(経過)を把握しておくこと。

 

発症の経緯 → 痛みがいつどのようなきっかけで発症し、痛みの段階がどのうように推移してきたか?

 

股関節の状態 → 形の変化の推移をたどる。変形はいつ頃始まったのか?

 

※できれば(写メでもいいので)レントゲン写真を入手しておくとベターです。

 

そして、自分の股関節はいまどういう状態にあるのか?

 

→どのような骨の変化・経過を経て(または変化無しで)、いまどのような痛みの状態にあるのか?

 

経過をたどれることによって、これからの対処(治療)として適切な選択肢を判断することが可能になるのです。

 

例えば、わたし自身の例で言うと、

 

先天性股関節脱臼 → 腰痛発症(高校生) → 変形性股関節症と診断(初期) → 進行予防策としての臼蓋(寛骨臼)回転骨切り術(20歳) → 股関節痛発症(30歳~) → 痛みの悪化及び関節軟骨減少・大腿骨頭変形 → 完全な末期と診断

 

という経過を経て、深圧療法を中心としながら、いろいろな治療、リハビリを試行錯誤し続け、時間はかかりましたがいまでは痛みのない快適な生活を過ごすことができるようになりました。

 

わたしの例について、痛みの度合(ピーク時を100とする)と推移を松本深圧院の考え方である『炎症の山理論』にあてはめてみるとこんな感じになります↓

 

 

骨の変形は痛みがピークの頃におさまったようであり、その後、現在に至るまでその形に何ら変化はありません。

 

それは、わたしの股関節が安定期に入っているからです。

 

末期ではなく安定期という認識です。

 

上の図で痛みがピークにあった前後あたりで深圧を受け始めたのですが、そのときの松本先生の見立ては以下のようなものでした。

 

・骨はこれ以上変形しないだろうし安定するだろうから心配はいらない。

 

・ただし、骨の変形(軟骨減少含む)にともなって発症したと思われる炎症の影響もあって股関節周辺の筋肉のかなりの部位にしこり(筋硬結)があり、これが非常にやっかいである→痛みの直接原因。

 

・時間はかかるかもしれないが、この筋肉の病気(筋筋膜性疼痛症候群)さえ治せば痛みは必ずなくなるだろう。

 

というものでした。

 

もちろん、前述のようなこれまでのわたしの股関節の経過(歴史)を問診した上でのことであり、レントゲン写真も見てもらいました。

 

経過をしっかりと把握することによってえられる見立てだと思います。

 

一方、深圧療法によって痛みがだいぶ改善された後に、セカンドオピニオンとしてとある整形外科医に診ていただいたことがあります。

 

そこで言われたことは、

 

完全なる末期症状であり、このままでは更に進行して骨が破壊症状をおこしかねない。

 

生活に最低限必要なこと以外には負担をかけてはいけない(→要は動くなということ)。

 

年齢的には早すぎるが人工股関節へ置換することも検討すべき。

 

というものでした。

 

関節(骨)は長らく安定しているようであり、(保存療法によって)痛みもかなり改善されていること、つまりわたし自身の股関節の過去からの経過を伝えても考慮せず、です。

 

あくまでそのときに撮った(一時点での)レントゲン写真だけを視ての診断です。

 

もちろん、わたしとしてはそれまでの経過と取り組んできた療法に自信をもっていたので動揺することもなく、あくまで一人の整形外科医のオピニオンとして聞いていたまでです。

 

例えば、長い年月をかけて痛みが徐々に悪化していった方で、初めて整形外科で診察を受けるケースなどではどうでしょうか?

 

実は、骨の変形はもう終わっていて安定しているにもかかわらず(筋肉などの軟部組織の問題が原因であったにもかかわらず)、もし一時点のレントゲン診断だけで「末期」と診断されて手術を勧められたらどうでしょうか?

 

本当はもう関節(骨)に手を施す(=手術をする)必要もないのに手術を勧められてしまうことがありうるのです。

 

治療する側の人間がそれぞれの患者さんの股関節の“歴史”を踏まえていまの状態を判断できれば、より適切な対処方法を考えることができると思うのです。

 

初めて見たレントゲン写真が(整形外科的に)末期であったとしても、その人の痛みや症状の経過をたどることで取りうるべき治療の選択肢も変わりうるということです。

 

また、その人がどのような生活をおくっているのか、家庭や仕事場での環境、一日の運動量、趣味などによって、発症の経緯や症状などは変りうるでしょうし、一方で今後どのような生活をおくりたいのかによっても取りうる選択肢は変ってくるでしょう。

 

個人的には、筋肉の質も大きいと感じています。

 

個人差に関して、生活環境の違いや体質などが占める部分は小さくありません。

 

だからこそ、自分自身にあった対処法を考える必要があると思います。

 

他者の症例は参考にはなりますが、すべての人が同じような経過をたどるわけではありませんので、一律的な対処方法にはやはり注意が必要です。

 

そもそもの骨の形もそうですし、変形具合にしろ、発症に至るまでの期間、痛みの感じ方、悪化のスピード、すべて異なります。

 

骨の変形が起きなくても股関節痛が発症することだってあります。

 

よって、自身の股関節の状態をつぶさに感じ取り、それを記録していくこと。

 

どういうときに痛みが起こるのか?

 

痛みが一番強いのはどういうとき?

 

姿勢、動作、歩行時間などなど。

 

現在の痛みを基準に過去を振り返ってみることもできるでしょう。

 

他の誰のものでもない、自分自身の身体です。

 

わたしもいまは痛みもなく(一時は二度とできないと思っていた)ランニングもできるようになりましたが、今後もずっと大丈夫と過信しているわけではありません。

 

常に日々の股関節の状態を直視していますし、気になればメモしています。

 

とくに長年痛みに苦しんでおられる方は、ぜひ直近の状態のみならず、振り返って過去からの経過を詳しく記録にとどめ、ご自身の股関節の歴史を客観的にたどれるようにしておくことをおススメします。

 

 

2020年8月2日

 

 

川根本町・塩郷の吊り橋(大井川)

 

 

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