変形性股関節患者としての体験記(その3)
体験記シリーズ、第3回目です。
☆★☆★☆★☆
もう手術はしたくない、人工股関節にはしたくない・・・でもどうしたらいいのか?
そんな途方に暮れる日々の中、以前に母がNPO法人・のぞみ会のメンバーより聞いたという施術療法のことを思い出しました。
何でも、痛みがひどくて杖も手放せなかった患者の方が、その治療を受けたところ、痛みも全く取れて杖なしで歩けるようになったとか。
そういう劇的な改善話はそれまで全く信用していなかったのですが、何とか手術以外の方法で股関節の状態を良くする方法はないかと考えていたので、とにかく一度を受けてみることにしました。
それが松本先生(現松本深圧院総院長)との始めての出会いでした。
初診の際、わたしの股関節周辺の筋肉患部はしこりだらけであり、長年の無理がたたって疲労だけが蓄積されてきたため、相当悪い状態にある(痛んでいる)とのこと。
股関節周辺のみならず、膝下も、腰や背中も・・・とにかく全身が硬くなっていました。
特に臀部(中殿筋)やハムストリングスあたりのしこりの硬さはかなりのもので、これを取り除くには相当な時間がかかると言われてしまいました。
治療の最初の印象は、とにかく痛かった!
深部(深層筋)にあるしこりをほぐすには深く圧す必要がありますので、結果として圧しが強くなります。
しこりがあるから痛いのであって、筋肉が良い状態にあれば圧されても強い痛みはないということも理解できましたが、施術が終わると汗だくになっていましたね。
わたし自身、それまで筋肉をつけることばかりに主眼を置いて、筋肉をケアするということを怠っていました。
関節(骨)はもちろん重要ですが、人間誰しも骨で立っているわけではありません。
骨を支える筋肉があってこそ立つことや、動くことができるわけで、その筋肉をケアしていくことがいかに大切かを思い知ることになりました。
特に、股関節周辺には、人間の体幹を支えるための重要な筋肉がたくさん集まっており、なおさら重要な箇所でもあるのです。
松本先生はとてもわかりやすく、かつ論理的に痛みが発症する仕組みを話してくれたし、治療を受けるこちらもとても納得できました。
それまで治療といえば手術しかないと思い込んでいましたが、こうして患部に直接触れて痛みから解放してもらうということ自体も新鮮でした。
自ら直接体験し、そして先生とよく話しをした結果、この治療に本格的にかけてみようと決意し、会社を半年間程休職して集中的に治療を受けることにしました。
その時点で股関節自体は、ほぼ軟骨がないような状態で、臼蓋部分と大腿骨頭の隙間はほとんどありませんでした。
医師からは、関節に破壊症状が出だしたら、もう人工股関節に変えるしかないとも言われていましたので、自分としては、とにかく可能な限り保存療法に努め、何とか自骨で長くもたせられるように頑張ろうと決意しました。
そして、毎週1~2回の施術を受ける日々。
今にして思うと、あの酷い状態のとき、集中的に施術を受けたことが後の改善において効果的でした。
これは結果論ですが、もし仕事を続けで身体を酷使しながら月に1回施術を受ける程度であれば、きっとなかなか効果を感じられず、深圧施術を諦めていたかもしれません。
とにかく、あのときは股関節を休める時間も必要だったのです。
休めながら施術を受け続けたことで、効果とその持続性が徐々に高まっていったのだと思います。
仕事をしている限り、思い切って長期間休むことはなかなかできることではありません。
わたしの場合、家族の協力があったからこそできたことではありますが、目先の生活を犠牲にしてでも将来のための時間を費やすという決断は間違ってはいなかったといまつくづく思います。
さて、集中的に施術を受ける一方で、それ以外は身体を休めつつプールなどでリハビリを続けました。
リハビリといっても、筋力トレーニングが目的ではなく、リラックスすることと可動域を維持するため。
わたしがこれまで行ってきた筋トレは、やみくもに鍛えていただけであって筋肉のケアを疎かにしていたために大した効果がありませんでした。
「あれだけやったのになぜ筋力があまりつかないのだろう?」という、それまで持ち続けてきた疑問がようやく解消されたのです。
筋肉が痛んでいる状態で筋力トレーニングを行っても、まともな力はつかないどころか、逆に悪化させてしまう危険性があるということです。
施術後の良い効果がなかなか持続しない日々が続きましたが、3ヶ月後くらいでしたでしょうか、痛みが徐々に引き始め、また硬くなっていた関節周りの筋肉の動きに柔軟性も出てきました。
明らかに、効果の持続性が感じられるようになりました。
また、しばらく座っているだけで筋肉が硬直し、立つときになかなか股関節が伸展してくれなかったのですが、こちらも徐々に楽になっていきました。
そして半年後、仕事を再び開始する上で支障がないと判断するに至り、仕事復帰しました。
むろん、まだ当時の回復段階では以前のように動き回ったりすることは避けながらの生活が必要でしたが、何より自分自身でずっと股関節をケアしていくんだという意識が芽生えたことが大きかったと思います。
痛みが発生する原因・仕組みを理解できるようになると、多少調子が悪くなってもあまり動じなくなりました。
調子が悪いときにはセルフマッサージをすることで多少なりとも痛みが緩和されたし、それだけで不安が拭えるようになりました。
とにかく、松本先生に出会えたことに本当に感謝していますし、この出会いなければおそらく人工股関節への置換手術に踏み切っていたと思います。
(続く)
2017年10月8日
コメントを投稿