セレンディピティとライフワーク
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突然ですが、皆さんは、ボーっとする時間を過ごすことはありますか?
わたしはと言いますと、元々のんびり屋であるせいか、ときどき無性にボーっと過ごしたい衝動にかられるのです。
というか、自分ひとりの時間を過ごしたいという方が正しいかもしれません。
引きこもりとも言います(苦笑)
家で音楽聴きながらボーっと、
ギターを弾きながらボーっと、
自宅のバルコニーで空(青空でも夜空でも)をみながらボーっと、
太陽の光でキラキラと輝いている海をみてボーっと、
何をするでもなく、考えごとをするというよりは、白昼夢を見ているような・・・
また、本を読みながら考えごとをする、
こういう時間をもつことによって、自分の意志がより強固になったり、アイデアが出やすくなるようです。
よって、わたしにとって、ボーっとする、ひとりの時間をもつのはとても大切なこと。
Serendipity(セレンディピティ)という言葉があります。
ウィキペディアによると、「別のものを探しているときに、偶然に素晴らしい幸運に巡り合ったり、素晴らしいものを発見したりすることのできる、その人の持つ才能」
のことだそうですが、
言語学者である外山滋比古さんの言葉を借りてもっと端的に定義すると、
『あてにしない偶然の発見』
のこと。
以前に読んだ外山さんの『ライフワークの思想』(ちくま文庫)という本で、このセレンディピティについて書いたくだりの中に、何もせずにボーっとすること、空白の時間をもつことの大切さを説いた箇所があり、えらく納得したものです。
以下、同書からの抜粋になりますが、面白いので紹介しますね。
「何か目標を立てて、それを達成することも大切だが、予期せざる発見にも捨てがたい魅力がある。セレンディピティの発見は、アマチュアが自由時間に生み出す創造の可能性を教えてくれているように思われる。」
「自由な時間を上手に使うというのは、何もしないでボーッとする時間をもつこと。充実した無為の時間をつくることである。」
「自分だけの時間をつくることは、長い目で見れば、いちばんの精神的な肥料になる。自分のつちかった球根が芽をふき、葉をのばしたあと、どれだけ大きな花を咲かせるかは、過去にどの程度、実りのある空白があったか、充実した無為があったかにかかっている。空白の時間の中から、自分の知的関心をそそるものを探し出して、自由な時間の中で伸ばしていく。それは当面の仕事となるべく関連の少ないものが望ましい。」
「囲碁にたとえるなら、石と石の間をぐっと離して、一見、関連のないような布石をすることだ。やがて、人生の収穫期に達したとき、離れたように見えた石と石とが、おのずからつながって、“盤上ことごとくわが陣地なり”という終局を迎えることができる。これが、ライフワークである。」
「ライフワークとは、それまでバラバラになっていた断片につながりを与えて、ある有機的統一にもたらしてゆくひとつの奇跡、個人の奇跡を行うことにほかならない。」
わたしの場合、大学受験浪人したことに始まり、股関節障害の悪化が原因で休職することも数回・・・理由は様々でしたが、随分とまわり道をしてきました。
そのときはボーっとしていたわけではありませんが、振り返ってみると、そういう「空白の時間」に意味あることが生まれていたことがわかります。
その時々で自分だけの時間を過ごし、その「とき」があったからこその出会いであったり、気づきであったり・・・そんなときと機会を経て今の自分があります。
いろいろな事が後になってつながってきていることも実感しています。
仕事のことのみならず、例えば、趣味の音楽(ギター)も止めずに続けてきたことで、新たな出会いによって(数年前より)再びバンド活動を始めることができました。
音楽は自分の心を豊かにしてくれる切っても切れないパートナーであり、まさに「自由時間に生み出す創造の可能性」をわたしに与えてくれます。
そして、いまの仕事は自分にとってのライフワーク。
いろいろな偶然、縁によって生まれたライフワーク。
履歴書的に言えば「空白の時間」ですが、その期間があったからこそつながって生まれたライフワーク。
ちなみに、以前のような「仕事」をしているという感覚があまりないので、「ライフワーク」という言葉の方がしっくりきますね。
つくづく、人生に無駄なことはない!って思います。
人生はセレンディピティの連続なんだと思うと、何だかワクワクします。
この言葉の響きも好きです。
無為が有為をつくりだす。
ボーっとなんてする時間などないという方。
勇気をもって、自分ひとりの無為な時間をつくってみてはいかがでしょうか。
時間の使い方を変えることによって、自分と向き合う時間をつくることによって、きっと何かが生まれる、何かが生まれるための土壌が育まれると思います。
2018年11月25日
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