痛みを考える3
皆さん、こんにちは。
久々の投稿ではありますが、今回は少し難しい内容となってしまいました(~_~;)
ご興味のある方はどうぞお付き合いくださいm(_ _)m
深圧は、基本的に何らかの原因によって十分に機能出来なくなった筋肉に対してアプローチする手技と考えております。
筋肉へのアプローチの中で、痛みや可動域制限、筋出力の低下を生じさせる要因として、「滑走性」という障害が関与している事があります。
滑走障害の要因としては、主に炎症や摩擦負荷、筋肉が長時間伸ばされたり、縮んだ状態が続くこと、筋肉へ掛かる何らかのストレスが考えられます。
今回はその中で、炎症によって生じる滑走障害を考えていきます。
組織が損傷を受け、治癒していく過程(①〜④)として、
①組織損傷による炎症反応
外傷や手術によって損傷を受けた組織に対し炎症反応が生じます。
②肉芽組織の形成
線維芽細胞による膠原線維(コラーゲン)が産生され、損傷組織周辺を線維化、さらに線維化した組織には毛細血管が発達し、肉芽組織を形成します。
③肉芽組織の瘢痕(傷跡)化
その後、肉芽組織が傷跡のように繊維化を高めながら組織の結合を強化し、組織の強度を強めていきます。
④組織修復
瘢痕化した組織は破壊と再生が継続的に作用し、元の状態に治癒していきます。
これらの過程は、生体内に起こる正常な反応であり、組織を修復し、再生していく上で大事な生体反応です。
軟部組織(皮膚、靭帯、筋・腱)は、基本的には似たような経過で組織の修復が行われます。
しかし、上記の過程で治癒が完了しても、その部位が完全に損傷する前の状態に戻るわけではなく、瘢痕(傷跡のままのような状態)が残ったり、組織の強度が多少低下するなど、構造や機能障害が少なからず生じます。
ここで大切なことは、治癒過程において修復作用が損傷組織だけでなく、その周辺組織にも及び、繊維化を生じさせてしまうことがあるということです。
そのため、損傷部位と同様にその周辺組織も滑走性の低下という状態が生じることになります。
また、組織損傷の場合だけでなく、炎症の場合でも似たようなことが生じます。
炎症が生じると、急性期では炎症反応によって充血と白血球の滲潤がはじまります。その後、線維芽細胞による膠原線維(コラーゲン)が産生され、炎症部位周辺を線維化させます(下図)。
これにより、炎症部位とその周辺組織の間の滑走性は低下することになります。
この状態は、数日から数週間で回復することもあれば、数ヶ月から数年かかることもあり、癒着が生じることで滑走性がほとんど回復しないこともあります。
組織損傷ならびに炎症が生じた際には、その部位と周辺組織には滑走障害が必発します。
深圧によって深い部分の組織はもとより、浅い部分においてもフリクション(摩擦)マッサージを使用することで組織損傷部位や術創部周辺の癒着を最小限にし、滑走性を最大限に引き出せるようアプローチしております。
汎用性のある手技、これが「深圧」の強みでもあると、私は思います(^O^)/
コメントを投稿